医学物理士試験対策~放射線物理学~ オススメ教科書もご紹介

医学物理士

線物理学は放射線の基礎の部分が主に試験に出る科目です。

でも、基礎っていってもどこまで勉強すればいいか分からない人が多いでしょう。
また、過去問をしていても調べるのに時間がかかってしまう科目の一つです。

 

今回は、基礎となる放射線物理学を効率よく頻出部分をまとめた対策を記事にしていき、おススメの教科書も紹介していきます。

医学物理士試験合格に必要な勉強量・勉強法

この記事を読んでほしい人

放射線物理学の勉強を効率よくしたい人
放射線物理学の調べる時間を減らしたい人
おススメの教科書を知りたい人

 

重要度の概要

☆☆☆
試験に頻繁にでるもの。必ず覚えるべき

☆☆
1~2回程度出題されていて、覚えた方がよいもの


たまに出るもの。

 

重要度☆☆☆
・原子と原子核について
重要度☆☆
・光子と物質の相互作用
・核反応について

 

重要度☆
・主な力学について
・中性子線と物質の相互作用について

医学物理士試験の放射線物理学対策

 

重要度☆☆☆

 

原子と原子核について

 

原子の特徴

・原子の大きさは原子番号Zに依存しない
・原子の電子密度は原子番号Zにほぼ比例
・イオン化エネルギーは内殻電子の方が外殻電子より大きい
・イオン化エネルギーが最も大きいのは希ガス原子
・イオン化エネルギーが最も小さいのは第1族元素

 

原子核の特徴

・原子核の大きさは質量数Aの1/3乗に比例
・直径は10-15~10-14(m)
・原子核の密度は質量に依存しない
・核子当たりの結合エネルギーは質量数に依存せず約8MeV
※質量数が60の付近で最大
・原子番号Zが20までは陽子と中性子が対であるほうが安定する
・原子番号Z>20になるとクーロン力の影響が大きくなるため、中性子数を増やして安定させる
・安定核種数は300以下
・核力は近距離で強い斥力、中間的距離でかなり強い引力

次からは関連する項目を掘り下げていくよ

オージェ電子と特性X線

オージェ電子のエネルギー=特性X線のエネルギー - 軌道電子のエネルギー
・(K軌道電子がL軌道電子に遷移した場合)
特性X線のエネルギー=K軌道結合エネルギー - L軌道結合エネルギー
・1番外側の軌道の電子が余分なエネルギーを得てオージェ電子として放出
・オージェ電子放出後2つの正孔を持つ
・蛍光収率=特性X線放出数 ÷ 軌道空席
・光電効果、内部転換、軌道電子捕獲、コンプトン効果で起こりうる

 

連続スペクトルと線スペクトルの分類

 

連続スペクトル

β+、β、コンプトン電子や散乱光子、制動放射線、熱中性子

 

線スペクトル

α線、γ線、特性X線、オージェ電子、内部転換電子、光電子、軌道電子、中性微子

 

フェルミ粒子とボーズ粒子について

 

フェルミ粒子

・2つの粒子は同じ状態をとれない
・スピン量子数が半整数
・ex)電子、陽子、中性子、中性微子、ニュートリノ

 

ボーズ粒子

・2つの粒子は同じ状態をとれる
・スピン量子数は整数
・ex)光子、中間子、α粒子、ヒッグス粒子

重要度☆☆

 

光子と物質の相互作用

 

光子と物質の相互作用は光子の持つエネルギーの低い順に以下のものがある

 

・レイリー散乱
・光電効果
・コンプトン散乱
・電子対生成
・光核反応

 

レイリー散乱

・進行方向が変化するだけ入射光子と同じエネルギーの光子を放出
・自由電子による干渉性散乱をトムソン散乱
・物質の原子番号が大きいほど、光子のエネルギーが低いほどレイリー散乱は顕著

光電効果

・光子のエネルギー全てを軌道電子に与え、軌道電子を放出する
・光子の粒子性を表す
・外殻電子より内殻電子で起こりやすい
確率(吸収断面積)は物質の原子番号の5乗、エネルギーの-3.5乗に比例
・特性X線あるいはオージェ電子が放出される

コンプトン散乱

・光子の粒子性を表す
・確率(散乱断面積)は物質の原子番号に比例
・反跳電子の最大エネルギーをコンプトン端と呼ぶ
入射光子のエネルギーが高くなると散乱光子は前方に強く散乱される
反跳電子のエネルギーは光子の散乱角が180度のとき最大
・コンプトン効果による質量減弱係数が最も大きいのは水素

電子対生成

・入射光子が生成する電子のエネルギーの和が1.022MeV以上の時に起こる
・確率(断面積)は物質の原子番号の2乗に比例する
・生成した陽電子は。電子と結合した位置で0.511MeVの消滅放射線を反対方向に放出
※3電子対生成の閾値は2.044MeV

光核反応

・核子の分離エネルギー以上が集中した時発生(10MeV以上)
・吸熱反応である

核反応について

 

・Q値が正→発熱反応。しきいエネルギーなし
・Q値が負→吸熱反応。しきいエネルギー以上ないと反応しない
・Q値が0→弾性散乱
※Q値は反応前後の質量をエネルギーに換算した値の差

 

Q値を求める式

A+x→B+y+Qの核反応の場合

 

Q=(MA+Mx)c2-(MB+My)c2

 

また入射粒子xに必要なしきいエネルギーは

 

Emin=-Q×(MA+Mx)/MA

 

重要度☆

 

主な力学について

 

ローレンツ力

 

f=qvB

 

B:磁束密度

v:平均速度

q:電荷

 

向心力

 

F=mv2/r

m:質量

r:回転半径

v:平均速度

 

ローレンツ力と向心力は組み合わせて試験に出るので、両方覚えておくといいよ

 

特殊相対性理論

 

速度vで移動する粒子の寿命は延び、観測者から見た寿命Δtは以下の式で求められる

t:静止系の寿命

v:観測者に向かう速度

 

中性子線と物質の相互作用について

 

中性子

・磁気モーメントを有する
・単独の平均寿命は約15分でβ壊変する
・熱中性子は約0.025eVの平均エネルギー
・速中性子のエネルギーは10keV~10MeV

 

物質との相互作用

・中性子は核力のみによって物質と相互作用する
・弾性散乱:始まりと終わりの粒子種が同じ
・非弾性散乱:終わりの原子核のエネルギーが変化
・原子核反応:反応によって不安定核が作られる
・中性子のの反応断面積はエネルギーは下がるほど増加する

 

医学物理士試験の放射線物理学を学ぶときにおススメの教科書

放射線物理学の教科書って古いのから新しいのまでたくさんあって何を読めばいいの?

そんな人におススメする教科書は

わかりやすい放射線物理学 改訂3版 – 多田 順一郎 


わかりやすい放射線物理学 改訂3版 [ 多田 順一郎 ]

こちらの教科書は医学物理士試験に出る放射線物理学の分野全体を網羅している教科書となっています 。

また、改訂2版よりいままで扱っていなかった分野まで入っているので、放射線物理学ならこの1冊と言っていいくらいの教科書となっています。

 

医学物理士試験の放射線物理学につまずいてる人へ

 

放射線物理学は範囲は広いですが、新しい情報があまり出ないので一度覚えてしまえば新しく覚えることはあまり増えない科目です。

そのため、最初の一歩さえ踏み出してしっかりと理解してしまえば得点源になること間違いなしです。

理解できない!という人はオススメした教科書を使ってしっかりと頭に叩き込むといいでしょう。


わかりやすい放射線物理学 改訂3版

しっかりと基礎を理解して大量得点GETしよう!

 

医学物理士になろう 試験勉強から合格までの道のりまとめ

 

 

 

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