医学物理士試験対策~核医学編~ オススメの教科書も紹介

医学物理士

物理工学系でも出てきた核医学
医学生物系では特に臨床的な内容に重きを置いた出題となっています。

全ての核医学について記事にすると膨大な量となりますので、今回は過去に出た分野を中心に頻出問題などをまとめたものとなっています。

 

医学物理士試験合格に必要な勉強量・勉強法

 

この記事を読んでほしい人

・核医学の過去問や頻出問題を重点的に学びたい人
・効率的に試験対策を進めたい人
・核医学のオススメの教科書を知りたい人

重要度の概要

☆☆☆
試験に頻繁にでるもの。必ず覚えるべき

☆☆
1~2回程度出題されていて、覚えた方がよいもの


たまに出るもの。

 

 

重要度☆☆☆

・各シンチグラフィの特徴

・放射性医薬品と検査

重要度☆☆

・シンチグラフィと所見

 

重要度☆

・PETについて

・RI内容療法について

 

重要度☆☆☆

 

各シンチグラフィの特徴

 

心臓核医学検査

・虚血では201Tlは再分布があるが、99mTc-MIBIはしない

123I-BMIPP検査では梗塞巣は陰性像

・梗塞では99mTc-TFの欠損が見られる

・レビー小体型認知症では123I-MIBGの心筋への集積低下

運動負荷の絶対禁忌

・急性心筋梗塞発症早期

・不安定狭心症

・急性あるいは重症心不全

・急性肺塞栓または肺梗塞

・急性心筋炎または心膜炎

・解離性大動脈瘤など重篤な血管病変

 

心臓シンチ

18F-FDGは心筋虚血の把握、梗塞心筋では集積低下

・心筋血流シンチでは左室容積、駆出率の計測

123I-MIBGでは早・後期像を撮像し心縦隔比、洗い出し率、交感神経機能を評価

123I-MIBGではパーキンソン病の時薬剤が心臓に集まらない

・労作性狭心症の評価には運動負荷を続けながら薬剤を投与

 

 

負荷心筋血流シンチ

・正常群では1年間の事故発生率は1%以下

・血流が不十分な場合低信号

・Tlは時間経過とともに心筋から洗い出されるが、その後血流に応じて再び心筋に取り込まれるため、1回の投与で負荷時と安静時の画像が得られる

・心筋接種率はTlが4%、Tcが1.5%程度

・冠動脈狭窄率50%までは正常時と同等に血流量を保つことができる

・Tlは血流量だけじゃなくて心筋の状態も集積に影響

心臓交感神経シンチ

・静注後12~25分後に撮影、その後三時間後に撮影

・平面像を使って心臓と胸郭の放射線の量(HM比)を測定

・対象疾患は狭心症・心筋梗塞・心筋症・パーキンソン病・レビー小体型認知症など

・心不全の重症度診断に利用できる

 

脳血流シンチ

・アルツハイマーの評価に有用

・てんかん焦点の検出感度はCTより高い

・虚血巣の検出感度はMRIより高い

・脳組織に親和性のある放射性医薬品を用いる

 

 

甲状腺シンチ

・Na131Iは拡散する性質を持つ

・排泄は尿

・KI投与でNa131Iの甲状腺集積をブロック

・ヨウ素接種率

・24時間→10~35%

・6時間 →平均13%

・3時間→平均10%

99mTcO4の接種率→0.4~3%

・バセドウ病のRI内用療法前の吸収線量予測に使われる

 

肺血流シンチ

・肺の毛細血管を一時的に塞栓状態とし、粒子の分布を観察して血流状態を把握

99mTcを仰臥位にて静注
→座位で行うと上肺野の集積が少なくなる

99mTc-MAAは投与後時間がたつと甲状腺が描出される

・肺塞栓症の診断に有用

・肺高血圧症・閉塞性肺疾患・肺がん・大動脈炎症候群の診断に有用

・肺高血圧症ではしばしば上肺野の血流が相対的に増える

・右左シャントの診断に有用

・肺血流シンチで欠損+肺換気シンチで欠損
→肺気腫・肺線維症・肺炎・放射性肺炎

・肺血流シンチで欠損+肺換気シンチで正常
→肺塞栓症の可能性大

肝・胆道シンチ

99mTc-PMTは肝実質細胞に選択的に集積し、胆道系を経て消化管へ排泄

・5,10,20,30,45,60分の経時的撮像

・胆道通過性が評価できる

・胆嚢の収縮材として卵黄などを用いる

肝受容体シンチ

・GSAはアシアロ糖蛋白受容体に親和性を有する

・直後より40分間データ収集

・肝臓がん、肝硬変などが対象疾患

 

腎動態シンチ

99mTc-DTPAはGFR(糸球体ろ過率)を評価

99mTc-MAG3はRPF(腎血漿流量)を評価

・レノグラムより腎機能を評価

・分腎機能を定量的に解析できる

・腎移植の機能評価、分腎機能評価、利尿剤負荷にて尿路系の拡張の鑑別が可能

 

骨シンチ

・静注後3-4時間後に撮像

・像骨性転移では強い集積

・骨転移では脊椎に異常集積をきたしやすい

・検査直前に排尿の前処置

 

放射性医薬品と検査

 

検査 放射性医薬品
脳血流 99mTc-HMPAO,99mTc-ECD,123I-IMP
脳神経系 123I-IMZ,18F-FDOPA
脳槽 111In-DTPA
唾液腺 唾液腺機能 99mTcO4
甲状腺 甲状腺機能・接種率 Na123I
甲状腺機能 99mTcO4
腫瘍 201Tl
副甲状腺 副甲状腺機能 99mTcO4,201Tl,99mTc-MIBI
心臓 心筋血流 201Tl,201Tl-chloride,99mTc-MIBI,99mTc-TF
交感神経機能 123I-MIBG
脂肪酸代謝 123I-BMIPP
急性心筋梗塞 99mTc-PYP
心機能・血行動態 99mTc-赤血球,99mTc-HAS,99mTc-HAS-D
大血管 血流 99mTc-赤血球,99mTc-HAS,99mTc-HAS-D
肺血流 99mTc-MAA
肺換気 133Xe-ガス81mKr-ガス
肺吸入 99mTc-ガス,99mTc-DTPA
肝臓 肝機能 99mTc-スズコロイド,99mTc-フチン酸
胆道系 99mTc-PMT
肝受容体 99mTc-GSA
脾機能 99mTc-障害赤血球
腎機能(GFR) 99mTc-DTPA
腎機能(ERPF) 99mTc-MAG3,123I-OIH
腎形態 99mTc-DMSA
骨代謝 99mTc-DMSA
骨髄 造血機能 111InCl3
腫瘍 腫瘍・炎症 67Ga-citrate
腫瘍 201TlCl
副腎 皮質 131I-アドステロール
髄質 131I-MIBG
炎症 炎症 111In-白血球
血栓 血栓 111In-赤血球
静脈 上肢・下肢静脈 99mTc-MAA

 

 

重要度☆☆

 

シンチグラフィと所見

 

脳槽シンチ

・水頭症の鑑別

・脳脊髄液漏の検出

・脊髄くも膜下腔の閉塞診断

 

脳神経系シンチ(123I-IMZ)

・てんかん焦点の診断

 

脳血流シンチ

・脳梗塞

・痴呆

・脳炎

・てんかん

・脳腫瘍

・一過性脳虚血発作

・脳血管障害

 

肺血流シンチ

・肺塞栓症

・肺気腫

・気管支ぜんそく

・肺高血圧症

・肺がん

 

甲状腺シンチ

・バセドウ病

 

副腎髄質シンチ

・褐色細胞腫

・パーキンソン病

・レビー小体型認知症

・神経芽腫

 

副腎皮質シンチ

・クッシング病

・原発性アルドステロン症

・褐色細胞腫

・神経芽腫

・副腎皮質癌

 

ガリウムシンチ

・サルコイドーシス

・悪性リンパ腫

・悪性黒色腫

 

唾液腺シンチ

・シェーグレン症候群

・ワルチン腫瘍

・慢性唾液腺炎

・ミグリッツ症候群

・唾液腺症

 

 

異所性胃粘膜シンチ

・メッケル憩室
※遠位回盲部に先天性に生じる袋状の構造

 

骨シンチ

・骨転移

・外傷

・炎症

・原発性骨腫瘍

・神経麻痺

 

重要度☆

 

PETについて

 

FDG-PETの概要

・妊婦・授乳中の女性、ICDが体内に入っている人は禁忌

・心臓の虚血が進行すると集積亢進

・FDGは脳疾患(てんかん、認知症)、虚血性心疾患、悪性腫瘍、炎症性疾患の診断に有用

・感度・空間分解能に優れる

・正確な吸収、散乱補正により定量性に優れる

・生体に存在する元素の放射性医各種を使用することが多い

 

18F-FDG-PET

・膀胱集積を抑えるために排尿

・てんかん焦点の検出感度はCTより高い

・虚血巣の検出感度はMRIより高い

・脳組織に親和性の高い放射性医薬品を使用

・注射前は血糖値150mg/dL以下が望ましい

RI内容療法について

 

90Sr疼痛緩和治療

・反復投与は少なくとも3か月以上あけ、骨髄機能の回復を確認してから

・抗腫瘍効果により疼痛が改善

・多発性骨髄腫の患者は除外基準

・骨転移部の10%程度が正常部にも集積し、骨髄抑制が起こることがある

90Srの取り込みが抑制される可能性があるので、カルシウムとの併用は不可

・50~80%に緩和効果

 

 

甲状腺機能亢進症の131I内用療法

・プランマー病の治療が可能

・治療後1~3週間は子供や妊婦との接触を避ける

・治療効果が表れるのは1~2か月後

・前処置として1~2週間前からヨード制限を行う

90Y内用量法

・難治性の低悪性度β細胞性非ホジキンリンパ腫とマントル細胞リンパ腫が保険適用

・副作用は白血球や血小板の減少

・事前に体内分布を調べるゼヴァリンインジウムと、1週間後のβ線治療のためのゼヴァリンイットリウムの2回の投与で治療

医学物理士試験の核医学を学ぶときにおススメの教科書

 

核医学って範囲も広いからできるだけ1冊で詳しいところまで網羅した教科書ってないのかな。

そんな人におススメの教科書は

わかりやすい核医学


わかりやすい核医学 [ 玉木長良 ]

 

オススメする理由としては

・図が多く理解しやすい

・かゆい所に手が届くほど網羅された内容

・臨床医や核医学専門技師も多く使っている

名前の通りほんとにわかりやすくまとめてある教科書だから、核医学はこれ一冊で十分なレベルだよ

医学物理士試験の核医学でつまずいてる人へ

核医学は医学生物系の科目の中で1,2位を争うほど出題範囲のボリュームが多いです。
あまりこの科目に肩入れしすぎると、ほかの科目に手が回らなくなるためまずは頻出問題をしっかりと固めていくことをオススメします。
ある程度、すべての科目が終わり余裕が出来たら今回紹介した教科書を読んで、過去問や頻出問題以外の知識を付けていきましょう。
RI内用療法とかはあまり選択式には出ないにもかかわらず、記述式で出たりすることもあります。
教科書を読むことで核医学の記述対策にもなるので、しっかり勉強していきましょう。

 

範囲が広いからこそ効率よく勉強していこう

 

医学物理士になろう 試験勉強から合格までの道のりまとめ

 

 

 

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