医学物理士試験対策~放射線生物学~ おススメの教科書も紹介

医学物理士

 

医学物理士試験対策もそろそろ全科目制覇に近づいてきました

今回は放射線生物学の対策を記事にしました。

放射線生物学は範囲がそこまで広くなく、出題される内容もほぼ似たような問題が出るのでしっかり対策すれば大きな得点源になります。

今回は、放射線生物学の頻出問題や過去問を中心にまとめました。

 

医学物理士試験合格に必要な勉強量・勉強法

 

この記事を読んでほしい人

・放射線生物学でしっかりと得点を取りたい人
・頻出問題などを効率よく学びたい人
・放射線生物学のオススメの教科書を知りたい人

 

重要度の概要

☆☆☆
試験に頻繁にでるもの。必ず覚えるべき

☆☆
1~2回程度出題されていて、覚えた方がよいもの


たまに出るもの。

 

重要度☆☆☆

・人体への影響

 

重要度☆☆

・DNAの損傷、修復

・細胞に対する作用

・腫瘍、正常組織に対する作用

 

重要度☆

・感受性について

・併用療法の生物学

 

医学物理士試験の放射線生物学対策

 

 

重要度☆☆☆

 

人体への影響

 

急性被ばく

主な症状
0~0.25Gy 症状なし
0.25~0.5Gy リンパ球の一時的減少
1~2Gy 放射線宿酔
3~6Gy 急性放射線症
7Gy 100%の人が骨髄死
10~50Gy 消化管死
100~数百Gy 中枢神経死
数百Gy以上 分子死

 

 

 

急性放射線症

 

・前駆期(~48時間)
→嘔気、嘔吐、下痢、頭痛、意識障害、発熱

・潜伏期(0~3週間)
→無症状

・発症期
→造血障害、消化管障害、皮膚障害、神経血管障害

 

※好中球はリンパ球に比べ感受性が低いため、5Gy以下では一時的に好中球比率が増加

 

 

耐用線量

 

TD5/5 TD5/5
皮膚 55Gy 睾丸 5=15Gy
食道 55Gy 卵巣 2~3Gy
50Gy 子宮 >100Gy
小腸 40Gy 17.5Gy
大腸 45Gy CNS(脳) 50Gy
直腸 60Gy 脊髄 47Gy
30gy 水晶体 10Gy
23Gy 骨髄 20Gy
膀胱 65Gy

 

 

重要度☆☆

 

DNAの損傷、修復

 

DNA二本鎖切断の修復

・相同組み換えは細胞周期に依存

・DNA-PKはDNA二重鎖切断を検知する能力を持つ

・DNA-PKはシグナル伝達機能を持つ

・Rad51は相同組み換えで働く

・二重鎖切断の多くは非相同末端結合修復(G1期)。修復エラーが起きやすい

・相同組み換え修復はS期とG2期。修復エラーはない

 

相同組み換え修復の概要

・DNA複製後にできる姉妹染色分体を鋳型にして修復する方法

・まず、Mre11、Rad50、Nbs1が結合し一本鎖DNAを露出させる

・次にRad51が結合し塩基対を形成

 

1本鎖切断の修復

・塩基除去修復

・ヌクレオチド除去修復

・ミスマッチ修復

・組み換え修復
※DNAの損傷は低酸素細胞、分裂しない細胞でも起きる

 

細胞に対する作用

 

LQモデル

・α/βの単位はGy

・致死率l=αD+βD2(Dは線量)

・早期反応組織・腫瘍→α/β大きい

・晩期反応組織→α/β比小さい

・α/βが小さい組織では分割照射で生物効果は減少

・DNA二本鎖切断の生成に基づく

・染色体異常発生頻度の線量依存性モデルに適用出来る

 

PLD回復とSLD回復

 

PLD回復

・低酸素細胞、静止期の細胞に起こる

・高LETは小さい

・細胞生存率に影響を与える

・放射線治療効果を減少させる

 

 

SLD回復

・分割照射、低線量率照射の時にみられる

・細胞分裂を行っている細胞に起こる

・高LETは小さい

・2~3時間で完成

 

 

アポトーシスの機序

 

・細胞膜構造変化(細胞が丸くなる)

・核が凝縮

・DNA断片化

・細胞がアポトーシス小胞に分解

 

腫瘍、正常組織に対する作用

 

α/β比と細胞線量率曲線

 

α/βが小さい

・低線量で曲がり始め、曲線的(肩が大きい)

・他分割照射が有効

・1回線量が大きいと細胞の障害は増大

・晩発障害型組織…中枢神経、腎、肺、骨など

 

α/βが大きい

・照射時間が長くなると障害の程度軽減

・1回線量の大きさに影響されにくい

・急性障害型組織…腸管、骨髄、皮膚など

 

照射法と生物学的根拠

 

照射法
過分割照射 がんと晩期障害組織のα/βの違い
加速分割照射 再増殖の抑制
通常分割照射 再酸素化
低線量率照射 細胞同期の同調
寡分割照射 患者の負担軽減

 

重要度☆

 

感受性について

 

放射線感受性の高い細胞

・分裂頻度が高い

・未分化

・将来分裂数が多い

・増殖が遅延しない

・α/β比が大きい

 

併用療法の生物学

 

低酸素細胞増感剤
→メトロニダゾール、ミソニダゾール
放射線増感剤
→BUdR、IUdR

 

 

温熱療法

 

・42.5度以上で加温

・pHが低いほど温熱感受性が高い
→低酸素細胞で有効

・S期後半で最も感受性が高く、G1期で低い

・緩徐な加温は耐熱性の原因

・耐熱性を軽減するために最低3日以上開けて次の加温を行う

・抗がん剤の増強効果を認める

・分裂せずに早期に死に至る(間期死)

医学物理士試験の放射線生物学を学ぶときにおススメの教科書

放射線生物学の教科書にあまりお金を使いたくないから、安くていい教科書はないかな

そんな人におススメする教科書は

放射線生物学/コロナ社


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・1冊で放射線生物学の内容をすべて網羅

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・生物学の基礎から丁寧に解説されている

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医学物理士試験の放射線生物学でつまずいてる人へ

 

放射線生物学は毎年似たような問題が多いにもかかわらず、意外と点数が取れないのは他の教科とくらべて臨床となかなか結び付かず知識が定着しないからです。

 

今回の記事を中心に効率よく頻出問題を学び、それ以外は教科書で補うことで放射線生物学の満点を取ることも可能になります。


放射線生物学 [ 木村雄治 ]

 

多くの科目がある中で個人的には一番満点が取りやすい科目だから、ここでほかの受験者と差をつけていきましょう。

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