医学物理士試験対策~放射線腫瘍学~ オススメ教科書もご紹介

医学物理士

医学生物系の基礎医学の一部分にも出題されていて、意外と配点が高い分野です。

また、受験する人のほとんどがこれからたくさんお世話になる分野です。
そのため試験の段階からしっかりと勉強しておいて損はないです。

しかし、何から勉強すればいいか分からないといった人に向けて、実際に過去に出た問題を中心に派生させたものを記事にしました。

 

医学物理士試験合格に必要な勉強量・勉強法

 

この記事を読んでほしい人

・放射線腫瘍学を効率的に学びたい人
・臨床でも使えるような勉強がしたい人
・オススメの教科書を知りたい人

 

重要度の概要

☆☆☆
試験に頻繁にでるもの。必ず覚えるべき

☆☆
1~2回程度出題されていて、覚えた方がよいもの


たまに出るもの。

 

重要度☆☆☆

・腫瘍の病理学的分類

・定位照射について

 

重要度☆☆

・腫瘍病理各論

・各治療の許容値や制約

 

重要度☆

・腫瘍部位別の放射線治療の方法

・腫瘍マーカー

 

医学物理士試験の放射線腫瘍学対策

 

重要度☆☆☆

 

腫瘍の病理学的分類

 

TNM分類

・原発巣、リンパ節転移、遠隔転移を基に分類

・不明な場合はX

・臨床的分類(cTNM)と病理に基づく分類(pTNM)がある

・基本は治療前に決定するが、手術や病理検査でpTNMが変更することもある

 

悪性腫瘍と良性腫瘍の特徴

 

悪性腫瘍 良性腫瘍
細胞異型 高度 軽度
構造異型 高度・未熟型 軽度・成熟型
分化度 低い 高い
分裂 多め 少なめ
発育速度 速い 遅い
発育 浸潤性 膨張性
被膜 なし あり
脈管への侵入 多め しない
転移 多め しない
再発頻度 多め 少なめ
体への影響 大きめ 小さめ

 

 

腺上皮と扁平上皮の分類

腺上皮:胃~直腸までの消化管、肺胞、子宮内膜

扁平上皮:口腔、食道、皮膚、子宮頸部

 

※例外的な腫瘍の分類

 

腫瘍
悪性リンパ腫 リンパ球
白血病 骨髄造血細胞
悪性黒色腫 メラニン細胞
グリオーマ 星細胞、グリア細胞
セミノーマ 胚細胞
網膜芽細胞腫、神経芽腫 胎児性細胞

 

 

ウイルスが原因のがん

 

ウイルス
HPV 子宮頸がん、中咽頭がん、尖圭コンジローマ
HBV,HCV 肝細胞がん
HTLV-1 成人T細胞白血病
EBV バーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、上咽頭がん、胃がん
H.pylori 胃がん

 

 

感受性ごとの分類

感受性 腫瘍
特に低い 肉腫、悪性黒色腫
低い 腺種、扁平上皮癌(※扁平上皮癌>腺がん)
高い 胚細胞腫、悪性リンパ腫、神経芽腫、ウィルムス腫、

Ewing腫、髄芽腫、網膜芽細胞腫

 

 

 

定位照射について

 

定位放射線治療の適応

・原発性肺・肝がん(直径5cm以下、かつ転移なし)

・転移性肺・肝がん(直径5cm以下、かつ転移なし、3個以内)

・脊髄動静脈奇形(直径5cm以内)

・前立腺がん

・脳動静脈奇形

・脳転移、原発性脳腫瘍、良性脳腫瘍のうち直径3cm程度かつ3個以内

 

重要度☆☆

 

腫瘍病理各論

 

肺がん

・腺がんが約60%

・次に多いのが扁平上皮癌

・大細胞がんは比較的少ない

・小細胞がんは全体の15~20%

・上記4種類以外にもまれながんが存在(肺胞上皮癌など)

 

 

 

乳がん

・乳腺管がん:20%、充実腺管がん:20%、硬がん:40%

・5生率:I期→95%、Ⅱ期→88%、Ⅲa期→76%、Ⅲb期→66%、Ⅳ期→34%

・男性は気づきにくく予後不良になりがち

・非浸潤性乳がんは全体の10%

・乳管中を広がる乳管内進展と壁を破り外に広がる浸潤がある

・診断には免疫染色もされる

 

 

前立腺がん

・65歳以上の割合が多い

・早期に骨転移する

・4割を占めるのがリンパ節転移

・病理学悪性度は予後に起因する

・早期発見の場合、経過観察する待機療法がある

悪性リンパ腫

・日本では非ホジキンリンパ腫が多い

・全身のいずれの場所にも発生する可能性がある

・菌状息肉症は成熟T/NK細胞由来

・B細胞リンパ腫は抗体産生細胞に由来

・胃MALTリンパ腫はヘリコパクタービロリに高い割合で感染している

 

 

 

各治療の許容値や制約

 

頭頚部がんの線量

 

線量
咽頭がん 40~45Gy+boost(計70Gy)
喉頭がん T1:66Gy,T2:70Gy
舌癌 外部30~40Gy+組織内40~50Gy
唾液腺がん 術後50Gy
上顎がん 術前40Gy(T4は50Gy)+術後20~30Gy

 

 

脳IMRTの最大線量制約

・水晶体:10Gy未満

・眼球:40Gy未満

・視交叉:50Gy未満

・視神経:50Gy未満

・脳幹:54Gy未満

 

非小細胞肺がんの放射線治療の許容値

 

通常分割勝照射の脊髄最大線量 50Gy未満
通常分割照射の肺のV20 30~35%
通常分割照射の心臓V40 80%以下
通常分割照射の心臓V45 60%以下
通常分割照射の心臓V60 30%以下
通常分割照射の心臓Vmean 35Gy以下
通常分割照射の腕神経叢の最大線量 66Gy以下
定位放射線治療の食道最大線量 40Gy未満

 

重要度☆

 

腫瘍部位別の放射線治療の方法

 

頭頚部がん

 

治療法
上咽頭がん ・第一選択は化学放射線療法

・唾液腺障害軽減のため、可能ならIMRT

中咽頭がん ・手術では機能障害をきたすことも多く、放射線治療の役割が大きい

・HPV関連は放射線治療の感受性が高く、予後良好

下咽頭がん ・早期:放射線療法

・進行:手術

・根治照射の良い適応はT1-2症例

喉頭がん ・T1,2N0:放射線治療

・声門上部T1-2、声帯運動障害あり浸潤強いT2:化学放射線、喉頭温存術

・T3-4の大半:化学放射線、喉頭温存術

・T4:喉頭摘出術

甲状腺がん ・乳頭状腺癌、濾胞状腺癌:手術、根治照射は適応外

・肺、骨、リンパ節などの転移に対して内用療法が適応

舌がん ・根治は手術主体

・I-Ⅱ期は小線源治療の適応

・腫瘍の減少を目的とした術後放射線治療、化学放射線療法が適応

 

 

食道がん

・ステントを入れた後に化学放射線療法を行うと、食道に穴が開く場合がある

・食道表在がん
①リンパ節転移あり→内視鏡切除or化学放射線療法
②リンパ節転移なし→手術

・食道表在がんは腔内照射の適応

・腔内照射は長径5cm以下、深達度T1,2の食道がんに有効

・進行がんには化学放射線療法を推奨

・急性有害事象:皮膚炎、食道炎。肺炎

・晩発有害事象:食道穿孔

 

子宮頸がん

・小線源治療と併用する外照射では中央遮蔽を行う

・予後因子:組織型、病期、腫瘍の大きさ、膣浸潤の程度、リンパ節転移の有無、年齢、腫瘍マーカーなど

・子宮頸がんのステージ別の治療法は以下の表のとおり

治療法 ステージ
手術 0、Ia1
広範囲な切除or同時化学放射線療法 Ia2,Ib,Ⅱa,Ⅱb
同時化学放射線療法or放射線単独 Ⅲa,Ⅲb,Ⅳa
抗がん剤or緩和 Ⅳb

 

 

前立腺がん

・手術と放射線治療の成績はほぼ同等

・手術、放射線治療で根治が難しいときはホルモン療法併用が治療効果を高める

・再発時もホルモン療法が選択される時がある

・PSAが減少するのは治療後数か月後から

・晩期有害事象
・直腸出血(2~30%と大きな幅がある)
・尿失禁、尿道狭窄(極めて低い)

・急性有害事象:頻尿、排尿時痛、皮膚の発赤

泌尿器腫瘍

・陰茎がん:I期で最大径4㎝以下はモールド照射、組織内照射の適応

・膀胱がん
術前照射と膀胱全摘が最も成績が良い
シスプラチンと放射線併用療法も有用

・精巣腫瘍
摘出後に病理診断
セミノーマなら放射線治療

 

悪性リンパ腫

 

・リンパ腫の種類と治療法は以下の通り

 

治療法
限局期ホジキンリンパ腫 化学療法or放射線化学療法
進行期ホジキンリンパ腫 化学療法
濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫、

小細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫

放射線免疫療法の適応

 

原発性脳腫瘍と放射線治療

 

照射法
定位放射線治療 下垂体腺腫
全脳全脊髄照射 髄芽腫、脳室上衣腫
全脳室照射 播種を伴わない脳胚腫
術後照射 Gradell髄膜腫
全脳照射 悪性リンパ腫、転移性脳腫瘍、膠芽腫、悪性神経膠腫
局所照射 星細胞腫、乏突起膠腫、脳室上衣腫、髄膜腫

 

 

腫瘍マーカー

 

腫瘍マーカー 主ながん 腫瘍マーカー 主ながん
AFP 肝がん、胚細胞がん NSE 肺小細胞がん、神経芽細胞腫
CA15-3 乳がん PIVKA-Ⅱ 肝がん
CA19-9 膵がん、胆道、胃、大腸のがん ProGRP 肺小細胞がん
CA125 卵巣がん SCC 肺や食道、子宮頸部の扁平上皮癌
CEA 大腸がんなど消化器のがん、腺癌 SLX 肺がん
PSA 前立腺がん I-CTP がんの骨転移
CYFRA 扁平上皮癌 hCG 卵巣がん、精巣がん

 

今まで試験に出たものをまとめてみたよ

医学物理士試験の放射線腫瘍学を学ぶときにおススメの教科書

 

放射線物理の教科書は持っているけど、放射線腫瘍学の計画や病理が勉強できる教科書ってないのかな。

 

そんな人におススメする教科書は

放射線治療計画ガイドライン2020年版


放射線治療計画ガイドライン 2020年版 [ 日本放射線腫瘍学会 ]

 

オススメする理由としては

・腫瘍学会が発刊しているため、信頼できる

・医学物理士試験の腫瘍学の範囲を網羅している

・実際の臨床にも使え、長く役に立つ

今まで2016年版が最新だったけど、今年さらに新しくまとめられたガイドラインになってるからまだ持っていない人は買うにはちょうどいいよ。

医学物理士試験の放射線腫瘍学につまずいてる人へ

 

放射線腫瘍学は腫瘍の病理から実際の臨床の計画に至るまで、とても広い範囲を勉強する必要があります。

更に言うと、医学物理士として働くならば避けては通れない分野です。

試験対策は要点を抑えて効率よく勉強して、合格した後にオススメした教科書を熟読して知識を深めましょう。


放射線治療計画ガイドライン 2020年版

 

周りの臨床経験がある人はこの分野が強いから差を付けられないようにしっかり点数を稼ごう

 

医学物理士になろう 試験勉強から合格までの道のりまとめ

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました