医学物理士試験対策~放射線診断学~ オススメ教科書もご紹介

医学物理士

医学生物系で意外とつまずくのが放射線診断学です。

その理由として

・範囲が広い

・CT、MRI、IVRなど分野が多い

・どこから手を付ければいいか分からない

といったように、実際に臨床経験がある人にとっても勉強するのが嫌になってしまう科目です。

そんな方のために今回は、過去問に出たものを中心に効率よく勉強できるように放射線診断学をまとめた記事になっています。

 

医学物理士試験合格に必要な勉強量・勉強法

この記事を読んでほしい人

・放射線診断学を効率よく勉強したい人
・臨床経験はあるが、未経験のモダリティの分野に不安がある人
・放射線診断学のオススメの教科書が知りたい人

 

重要度の概要

☆☆☆
試験に頻繁にでるもの。必ず覚えるべき

☆☆
1~2回程度出題されていて、覚えた方がよいもの


たまに出るもの。

 

重要度☆☆☆

・MRIの特徴と所見

・胸部X線写真の診断

 

重要度☆☆

・IVRと疾患

・CTの所見

 

重要度☆

・マンモグラフィの診断

重要度☆☆☆

 

MRIの特徴と所見

 

MRIの特徴

・組織間コントラストに優れる

・任意の断面で撮影可能

・CTで見られる骨や空気のアーチファクトがない

・血流情報を非侵襲的に得ることができる

・被ばくがない

 

MRIの禁忌

・ペースメーカーや人工内耳といった磁性体が体内にある人

・静止臥床を保てない人

・超高磁場の場合、妊娠初期の人

 

T1、T2強調の見え方

 

高信号 低信号
T1強調 脂肪、高蛋白溶液、亜急性期血腫、常磁性体、メラニン、淡い石灰化、出血 水、空気、骨、速い血流、多くの病変
T2強調 水、亜急性期血腫、多くの病変 急性期・慢性期血腫、石灰化、空気、骨、速い血流

 

 

 

肝臓の所見

・肝細胞腺腫はSPIOを取り込まない

・がんなど細胞密度が高いとDWIは高信号

・肝血管腫はT2強調において著しい高信号

・限局性結節性過形成(FNH)はT1、T2ともに肝と同程度の信号
→中心瘢痕は動脈相でlow、あとで淡いhigh

・肝細胞がんはEOB-DTPA造影MRIで、肝周囲より低信号

 

女性の骨盤の所見

・卵巣は性周期に伴い水分量が変化し、所見は変化する

・卵胞はT2強調で高信号

・子宮頸がんT2強調で高信号

・子宮はT2強調で高信号の子宮内膜、低信号の子宮内膜直下筋層、中程度の外側子宮筋層の3層構造

・内膜症では内容物に亜急性期の血液が多く、T1T2ともに高信号

・卵巣腫瘍で粘液性嚢胞、内膜性嚢胞、類皮嚢腫はT1強調で高信号

・卵巣線維症はT2強調で筋と同程度の低信号

 

 

拡散制限する所見

※拡散制限=DWIで高信号・粘稠度が高いと制限
→髄芽腫、類表皮腫など・細胞浮腫が起きた時
→急性期脳梗塞・がんなど細胞密度が高い
→前立腺がんなど※血管性浮腫は細胞外液が増えT2延長の影響を受け、さらに拡散が上昇
→DWIで高信号、ADCで低信号

胸部X線写真の診断

 

単純X線写真の特徴

・簡便

・空間分解能が良い

・あらゆる疾患のスクリーニング

・特に胸部、骨、乳腺(マンモ)など有用

 

シルエットサイン

 

輪郭線 陽性(消失) 陰性(保存)
右肺 上・中肺野 右心縁上部 上葉(S3) 上葉(S1,2)
上行大動脈
中・下肺野 右心縁下部 中葉(S5) 下葉
右横隔膜 下葉(S8) 中葉
左肺 上・中肺野 左心縁上部 上葉(S3) 上葉(S1+2)
大動脈弓部 上葉(S1+2) 上葉(S3)
中・下肺野 下行大動脈 下葉 上葉(舌区)
左心縁下部 上葉(S5:舌区) 下葉
左横隔膜 下葉(S8) 上葉(舌区)

 

 

結節影:肺に白く見える影

・胸部異常陰影が血管性陰影と判断
→まず肺動静脈瘻を疑う

・結節影を指摘されて最も注意するのは肺癌

 

胸部すりガラス状陰影

・腫瘍性病変

・炎症性疾患

・間質性肺炎etc

※主に高分化腺がんの特徴

 

重要度☆☆

 

IVRと疾患

 

穿刺ドレナージ

・針を挿入し、膿瘍を取り除く

・ex)肝膿瘍など

 

動注化学療法

・腫瘍に血液を送っている動脈から直接抗がん剤を投与する

・ex)頭頸部、四肢、肝、骨盤内臓器の癌に対して

動注塞栓術

・腫瘍に血液を送っている動脈を塞ぐことで腫瘍を壊死させる

・ex)肝臓癌、止血目的

 

 

CTの所見

 

 

石灰化を伴う脳腫瘍

・胚細胞腫瘍
・膠芽腫
・髄膜腫
・上衣腫
・乏突起神経膠腫
・頭蓋咽頭腫

 

 

空洞形成する胸部疾患

・扁平上皮癌
・肺結核
・非結核性抗酸菌症
・ワグナー肉腫
・肺膿瘍

 

 

肝臓の所見

 

・肝のう胞

水と同程度の濃度を示し、造影効果はない

 

・肝膿瘍

造影では中心部は造影されず、辺縁は遷延性に増強

 

・肝血管腫

ダイナミックにおいて辺縁から造影され、徐々に中心に広がる

 

・肝細胞がん

早期濃染→後期で低吸収

 

肝硬変

・右葉が委縮し、左葉が肥大

・脾臓の腫れ

・肝表面に凹凸が現れる

・門脈側副路の発達

 

肝内胆管内ガス像の所見

・胆管空腸吻合後

・乳頭切開後

・内視鏡的逆行性胆管造影後

 

 

重要度☆

 

マンモグラフィの診断

 

石灰化の種類

 

良性の石灰化 皮膚・血管の石灰化 鑑別を要する 微小円形石灰化
線維腺腫の石灰化 淡く不明瞭な石灰化
乳管拡張症に伴う石灰化 多形性石灰化
円状石灰化 微細線状石灰化
中心透亮性石灰化 分枝状石灰化
石灰乳石灰化
縫合部石灰化
異栄養性石灰化
粗大ポップコーン状石灰化

 

※脂肪濃度を含む腫瘤は良性

医学物理士試験の放射線診断学を学ぶときにおススメの教科書

 

 

診断学って臨床の経験からしか知識を得られないんじゃないかなー

それに範囲も広くてどの教科書買えばいいか分からないよ

そんな人におススメなのは

画像診断コンパクトナビ第4版


画像診断コンパクトナビ第4版 医学生・研修医必携 [ 百島祐貴 ]

 

オススメの理由としては

・範囲の広い診断学の勉強に1冊で補えるほどの内容

・臨床にも役に立つほどの内容

・就職後も調べ物や勉強に利用できコスパが良い

 

多くの人が大学生の時に買わされると思うけど、意外と使えるから持っている人は探してみて

 

医学物理士試験の放射線診断学につまずいてる人へ

 

放射線診断学はCTを始めマンモグラフィや一般撮影など範囲が幅広い割に設問数もそこまで多くないため、意外とおろそかにしがちです。

しかし、臨床経験がないと解くのも困難なので科目の点数が0点で不合格といった悲劇になるかもしれません。

そのため、今回まとめた記事を参考にしてある程度頻出問題の知識を付けておき、知識の肉付けとして紹介した教科書を読んでおくことをオススメします。


画像診断コンパクトナビ―医学生・研修医必携 (コンパクトナビシリース)

効率よく勉強すれば何も怖くない科目だよ

 

医学物理士になろう 試験勉強から合格までの道のりまとめ

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました